以前、イタリアの湖について触れたことがある。マジョーレ湖、コモ湖、ガルダ湖と北イタリアにある3大湖すべてがロンバルディア州内に収まらずともやはり地図上の広範囲を占めているので、湖畔の町のご当地料理も紹介しておきたい。
マジョーレ湖は州の北部、トリノを州都に置くピエモンテ州と几帳面に分割されながらさらに北へ上るとスイスの国境を越えたロカルノ地区まで延ばしている。アローナやストレーザはそのピエモンテ側にあり、対岸の東がロンバルディア州となる。残念なことにその東側には有名な地域が乏しく、それゆえに名物と言われる個性も少なく、淡水魚を使ったグリルものやチーズ、ポレンタなど山岳料理と等しいものが主流と言える。イタリアらしいといえばそうなのであればいかにもナチュラルな表情が見てとれる。
マジョーレ湖の東、ミラノの北に位置するのがコモという町。そこを最南端として北を向いて町の名を持つ湖は広がっているが、漢字の“人(入か?)”のような地形(湖形?)のこの湖はそのすべてがロンバルディア州の中に収まっている。
コモの町にしても、地形の逆側にある町レッコも魚料理が基本であり、それにトウモロコシを練ったポレンタを併せるというものが名物というか地元を代表する料理であろう。魚の品種としてはアゴーニ(限りなくニシンに似た淡水魚)といってそれを燻製にしたいわばイタリア風干物、ミッソルティーニだ。ポレンタに併せるとなんだか日本の田舎料理を思いだし、郷愁を掻き立てられるような感じ。日本人なら間違いなく醤油が欲しくなるが、こちらのレシピはベースにガーリック、ワインビネガーにオリーブオイル、イタリアンパセリとローリエというやはり洋風仕立て、それも悪くない。
ガルダ湖はコモ湖のより東、イタリアで最も大きな湖でありロンバルディア州とヴェネト州に二分され、北の一部のみトレンティーノ・アルト・アディジェ州に属する。西の湖畔がロンバルディアとなり、デゼンツァーノや半島で有名なシルミオーネなどがそう。魚料理はここでも主流となるが、それを基調としたビーゴリという太麺のパスタは欠かせない。ニンニクとパセリがやはり強力なわき役として登場してくる。太麺、うどんのようなパスタに塩漬けの小イワシを自然にからませるのである。まず、塩を抜くために軽めに水洗い、それを30分ミルクに漬け込んでおくというのが特徴的であろうか。オニオンはノーマルものに赤玉ねぎも加えて薄切りに、それをニンニク入りオリーブオイルで軽く炒めて色づいたらイワシを入れて5分ほど、しっとりなるまで火を通す。茹で上がったビーゴリをパンの中で合わせてパセリを加え完成するというシナリオ。わたし自身の大好物でもある。
「バッハへの旅」オンラインツアーを
開催いたしました!
音楽評論家 加藤浩子と行く バッハへの旅「オンラインツアー」
2020年12月15日(終了)
郵船トラベル初のオンライン音楽ツアー「音楽評論家 加藤浩子と行く バッハへの旅」は無事終了いたしました。
ツアーは、加藤先生による「バッハへの旅」誕生ストーリー、「バッハの足跡をたどる旅」から始まり、ゲヴァントハウス管弦楽団コントラバス奏者 シュプレー氏によるライプツィヒのご案内(録画)、聖トーマス教会オルガニスト ベーメ氏によるオルガン演奏(録画)、バッハ音楽祭の芸術監督 マウル氏とのライブ中継、ドレスデンのワイン店 沼尻ソムリエとのライブ中継などのラインナップでお楽しみいただきました。
オンラインツアーの様子を少しだけご紹介いたします!